ダンベル試験片の金型

ダンベル試験片を射出成形で作製する場合、各射出機に対応した金型を用意し、そこに加熱溶融したプラスチック(樹脂)を高圧で押し込んでダンベル試験片を作製します。
金型を使用して成型することで、効率よく大量作製が可能になります。

1.金型サイズ

製品を作製する一般的な射出機を使用する場合、専用金型、ベース型で中身を交換するなどいろいろな方法がありますが、数百㎏になるような大きく重い金型になることも少なくはありません。
射出圧力に耐えられる強度、繰り返し使うための耐久性が必要になるからです。

それはダンベル試験片でも例外ではなく、100kgを超える金型になるのが一般的です。
そしてその場合、金型の移動(交換)、保管、メンテナンスともに労力やコストがかかります。

金型の小型化を実現する、小型作製機

開発室で使用できるような小型機でダンベル試験片作製する場合、金型のサイズの小型化が可能になります。金型の小型化は、移動、保管、メンテナンスの労力やコストの大幅削減につながります。 

小型化したダンベル試験片の金型

以下は、ダンベル試験片の内製が可能な弊社卓上作製機専用のJIS K7139 A1金型です。
実際にダンベル試験片作製にご活用いただいている金型です。

サイズ 約 6 ㎝ × 20 ㎝ × 4 ㎝ 
重量  約 2 kg 

ダンベル試験片JIS K7139 A1の寸法は以下の通りですので、実際に使用するダンベル試験片より少し大きいくらいの金型で済むのがご理解いただけるのではないでしょうか。

2.小型化した金型での精度と安定性・耐久性、汎用性

一般的な射出成形をご存知の方のなかには、従来の常識にはない小型化した作製機・金型で、問題なく品質の良いダンベル試験片を繰り返し作製できるのかと思う方もいるかもしれません。

使用する作製機とその金型によって異なると思いますが、可能です。
次項で、弊社卓上作製機での例をご紹介いたします。

3.弊社卓上作製機での事例紹介

1)精度:誤差0.02mm以内で作製可能

実際に2種類の樹脂でダンベル試験片を作製した際のデータが以下になります。それぞれ、誤差0.02mm以内で作製できていることを確認しています。

【PPSーGS40%】
試験片厚さ
14.1010.13
24.1010.13
34.0910.14
44.1010.13
54.0910.13
平 均4.1010.13
単位:mm
作製したPPSダンベル試験片
【PA66ーCF40%】
試験片厚さ
14.0410.10
24.0610.11
34.0510.11
44.0510.10
54.0410.09
平 均4.0510.10
単位:mm
作製したPA66ダンベル試験片

試験実施:株式会社DJK

【参考】ダンベル試験片JIS K7139 A1の規定寸法
 寸法
タイプA1
(射出成形)
タイプA2及びタイプA3 (機械加工及び圧縮成形)
l3全長 a)≧170≧150
l2タブ部間距離 b)109.3±3.2108±1.6
l1平行部の長さ80±260±0.5
r肩部の半径24±160±0.5
b2端部の幅20±0.2
b1中央の平行部の幅10±0.2
h厚さ(標準)4±0.2
つかみ具間距離115±1
注a) 全長は,JIS K 7152-1及びJIS K 7154-1に規定するタイプA1試験片の170 mmが望ましい。
b)l1,r,b1及びb2から求められる寸法値である。
単位:mm
出典:日本産業標準調査会ウェブサイト

2)安定性・耐久性:5,000本でも安定した品質で作製可能

作製の安定性、金型の耐久性については、アクリペットVH001(アクリル)でJIS K7139 A1を5,000本作製。ランダムに70本を抜き出して引張試験を行い、引張特性が一定で、成形品の品質が安定していることを確認しました。

3)汎用性:1つの金型で、再生樹脂やスーパーエンプラまで作製可能

作製した金型は、異なる樹脂を使う場合も、そのまま流用することが可能です。
どのような樹脂が使えるかは、金型ではなく作製機の性能によるところが大きくなりますが、弊社当該機の場合、汎用樹脂からスーパーエンプラ、再生樹脂まで、様々な樹脂を1つの金型で作製可能です※。

※樹脂によって別の金型を用意する必要はありませんが、樹脂によっては金型の温度管理をしながら作製する必要がある場合があります。

弊社卓上作製機の対応樹脂
スーパーエンプラ PEEK、PPS(長繊維)、PPSU、PES、PSU、LCP
エンプラ RENY、PA6、PA46、PA66、PA9T(長繊維)、POM、PC、PET、PBT、COP
汎用樹脂 PP、ABS、PS、PC/ABS、PE、PMMA
その他の樹脂 TPE(熱可塑性エラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)、各種GFRTP、各種CFRTP、プラマグ、CIM
エコプラスチック CNF樹脂、バイオプラスチック、再生樹脂
※弊社の卓上作製機は通常の成形機よりも低圧低速での射出成形を行います。
射出速度は15mm/secが最高値になります。各樹脂での試験片作製の成形条件については弊社卓上作製機の最適な射出速度で製作しますが、規格サイズでの作製が可能です。
また、小形角板タイプD1(厚さ1mm)については作製できる樹脂が限定される場合があります。

4)各種試験片の金型作製実績

これまでJIS K7139 A1での事例をご紹介してきましたが、弊社では、その他の試験片についても金型作製実績があります。

  • JIS K7139 短冊試験片
  • JIS K7161-2-5A ダンベル形状 小形試験片
  • JIS K7161-2-1BA ダンベル形状 小形試験片
  • JIS K7218 A法 中空円筒試験片
  • JIS K6251 ゴム引張特性試験  ダンベル状3号(標準試験片)
  • ASTM-D790 短冊試験片(正式寸法T3×13×127)片持ち曲げ疲労試験ASTM_TYPE1

上記以外の規格に関しても対応可能ですので、金型製作についてお悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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